2024.03/22

エクソソーム点滴がスポーツ界を汚染

美容医療で話題の エクソソーム点滴

極めて多くの美容クリニックで 最高品質、安全、癌にも有効、若返りにも有効・・・

素晴らしい効果が並んだ広告が目につきます。

You Tubeでもエクソソーム点滴の有効性をリスクを一切お伝えすることなく大々的に効果をPRされています医師が多数見られます。

エクソソーム療法の明確な定義はありません。

エビデンスもありません。厚生労働省が認可した薬剤でもありません。

標準化もされていません。

2重盲検ランダム化比較試験などエビデンス度の高い治験も一切実施されていません。

エクソソーム製剤における標準化、投与のプロトコールも存在しません。

多くのエクソソームを販売しています会社がありますがその会社も自社の品質が最高であるとPRして売り込んでこられます。その実態は闇です。

オリジンも乳歯髄由来、脂肪細胞由来、臍帯由来、胎盤由来などいろいろです。

最近、トップアスリートへ試合がのダメージ回復などにエクソソームの静脈注射を実施して回復させた 継続的に投与しているYou Tube動画もプレスリリースも大々的にアスリートを前面に出してPRされています。驚くべき暴挙です。

プロボクシングでもダメージを抜く目的であってもエビデンスが無い試薬の投与は倫理的に許されません。

これはドーピングにならないのでしょうか?

身体の疲労回復やパフォーマンスを向上させるための 薬機法上 認可とられていない試薬の静脈投与はドーピング行為と考えられても仕方がないかと思います。

NPBの基準ならアウト、JBCの提唱する基準でもアウト。

12時間以内の100ml以下の静脈投与はドーピング行為ではありませんが、継続的に未承認試薬を身体能力向上のために静脈投与はドーピング以前に医師として倫理的にも常識的にもNGです。

営利目的のアスリートを宣伝材料に利用したエクソソーム点滴は 現時点では問題と考えます。

JBCでも以下のように

「JBCの管轄のもとでおこなわれる試合に出場するボクサーは、リングにおける自らの能力を増強もしくは減衰させる麻薬、薬剤、薬物を摂取しもしくは身体に塗布してはならない。」(https://www.jbc.or.jp/info/jbc_rulebook_excerpt.pdf
2 https://www.jbc.or.jp/rls/2021/0520.pdf
3 https://boxingnews.jp/news/83424/
https://www.sponichi.co.jp/battle/news/2021/05/19/kiji/20210519s00021000415000c.html 等

と提唱しています。

https://npb.jp/anti-doping/foryourdailylife_1.html

世界アンチ・ドーピング機構(WADA)の禁止表のM2.2の項では「静脈内注入および/または静脈注射で、12時間あたり計100mLを超える場合は禁止される。但し、入院、外科手術、または臨床検査のそれぞれの過程において正当に受ける場合は除く。」と明記されています。

NPB医事委員会では、以下2点を満たすものを「正当に受ける静脈注入」と判断します。

  1. 医師による診療記録があり、診断名、診断根拠、医薬品名及び使用量・使用方法などが明確に記載されている。
  2. 薬事法にもとづいて認可された医薬品を用いた治療であり、且つ適応内使用である。

ドーピング禁止薬物でなくても、医療機関の受診過程(救急搬送中の処置、外科手術、外来及び入院中の処置を全て含む)または臨床的検査において正当に受ける静脈注入でない注射や点滴は、アンチ・ドーピング規程違反になります。

いずれにしましても エクソソーム点滴及び静脈内投与は現時点ではプロトコールもどの試薬を使用するのが良いかも全く不明で 実施するべきではないと言えます。

アスリートの方は エクソソーム点滴の甘い罠にかからないようにご注意ください。

スポーツ界へエクソソーム点滴による汚染が広がらないように正しい情報の普及に努めてまいります。

美容クリニックでは根拠なく派手にエクソソーム点滴のメリットが強調され宣伝されています。

https://www.nippon.com/ja/news/kd1143118812041380003/

日本再生医療学会が規制の動きへ。

当然ですね。弊社では、医療ネットワークを使い エビデンスが無い似非医療行為のリスクやヘルスケア情報を正確に伝えてまいります。