2024.11/30

呼吸と心拍変動、自律神経の関係⑤

前回は心拍変動解析の時間領域指標についてご紹介しました。今回は引き続き心拍変動解析の周波数領域指標についてご紹介します。


周波数領域指標とは

周波数領域指標はサンプリングされたNN間隔のパワースペクトル密度から計算されます。

パワースペクトル密度とは、異なる周波数における信号のパワーの分布を表すものです。

各周波数は超低周波であるVLF、低周波であるLF、高周波であるHFの領域に分類され、

それぞれの密度によって自律神経のはたらきを観察することができます。

周波数領域指標の項目

周波数領域指標には以下のものがあります。

TP(トータルパワー)

周波数0~0.4Hz(VLF,LF,HF)のパワースペクトルのトータルパワーの計算値。

自律神経全体の活動量を表す。

VLF(超低周波)

周波数0.0033Hz~0.04Hzのパワースペクトル。

詳細な解明がされていない領域で、精神的ストレスによる交感神経の緊張や、

ホルモン、体温変化などの影響で変化するとされている。

LF(低周波)

周波数0.04Hz~0.15Hzのパワースペクトル。

主に交感神経の活動を表す。

HF(高周波)

周波数0.15Hz~0.40Hzのパワースペクトル。

主に副交感神経(迷走神経)の活動を表す。

HFはRSA(呼吸性洞性不整脈)として知られており、呼吸によるNN間隔の変動を示すため、

「呼吸帯」としても知られている。

LF/HF比

低周波数帯と高周波数帯で計算されたスペクトルパワーの比率。

数値が高いと交感神経優位を、低い場合は副交感神経優位を示す。

次回も引き続き心拍変動解析についてご紹介します

心拍変動解析のパラメータについてはこちらのサイトでも紹介されています!