2024.12/3

呼吸と心拍変動、自律神経の関係⑥

前回は心拍変動解析の周波数領域指標についてご紹介しました。

今回も引き続き心拍変動解析について解説していきます!


心拍変動解析の歴史

かつて心拍変動の原因として考えられていたのは呼吸性変動成分(RSA)によるものだけであり、

1973年に心拍変動に対するスペクトル解析が行われたことで、

呼吸以外にもさまざまな要因によって心拍が変動していることが判明しました。

近年、コンピュータの処理性能が大幅に向上したことにより、

高度なスペクトル解析による心拍変動の測定が容易になり、研究も盛んになりました。

これらの研究結果は心拍変動解析の結果が、

自律神経機能やそのほかの生理的機能に対する指標になり得ること示し、

臨床医学への応用についても注目されるようになりました。

呼吸性変動成分(RSA)のはたらき

RSAは呼吸による胸腔内の変動や、それによる静脈還流量の変動により、

副交感神経の心房受容体が刺激されることにより生じていると考えられ、

スペクトル解析が導入される以前より、

心臓に対する副交感神経活動の指標と考えられていました。

RSAは副交感神経遮断薬を使用すると消失し、

交感神経遮断薬を使用すると増加する特性があります。

さらに交感神経遮断薬を使用した状態では、

RSAと心拍数が直線的な関係にあることがわかっています。

これらのことから、心拍数が副交感神経のみによって支配されており、

RSAの大きさが副交感神経の活動の大きさに比例していると示す根拠となります。

心拍変動解析については下記の論文でも解説されています

https://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys1961/28/4/28_4_198/_pdf